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患者さんトラブルSOS

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2013 Winter

患者さんトラブルSOS

第3回 診療拒否をして良い場合もある

ハードクレーマーや治療費を払わないなど「診療拒否」したいと思う患者さんがいないと言えば嘘になります。
誠意を尽くした後でなら、応召義務に過剰反応する必要はありません。

「正当な理由」とは暴力や暴言、未収金なども含まれる

「正当な事由がない限り診療を拒んではならない」…この応召義務を盾に無理難題を押しつけてくる患者がいます。私はこの応召義務に過剰反応してはいけないと考えます。
暴力などの行為があったり、暴言で職員が精神的にダメージを受けたり、常識を超えた未収金問題があった場合は、「正当な事由」と解釈するのが最近の司法界の動きです。

「訴えるぞ」「マスコミに言うぞ」に過剰反応してはいけない

応召義務をふりかざす患者の決まり文句は「診療拒否で訴えるぞ」「保健所やマスコミに情報を流す」など。しかし私の経験上、これで裁判になるケースはまずありません。仮にマスコミが来れば自分の迷惑行為も明らかになるからです。患者の生命がかかっている状況での応召義務違反は裁判になってもおかしくありませんが、病状レベルが重篤でなければ「自分自身や職員の安全や健康を第一に考えて診療拒否してください」と、私は助言しています。

相手の発言や行動の記録をしっかり取ることが役立つ

患者側が強く出る場合には、迷惑行為の記録をしっかり取ることも必要。ICレコーダーを利用して発言を録音しておくと警察も動きやすくなり、紛争になった時も役立ちます。また「患者の皆様に守っていただきたいこと」として迷惑行為を列記したポスターを作り、「守っていただけない場合は警察に通報することがあります」という一文を盛り込んで入口や待合室の目立つところに掲示するのも効果があります。

トラブル・カルテ

24時間診療して当たり前!?

「患者の身内を名乗る男が乗り込んで来た」とS医院から電話。話を聞くと、前日に10歳の男の子の母親から「息子が高熱なので診てほしい」と電話があったが、入院患者の容態が悪化して当直医の手が離せず、「別の病院を当たってほしい」と告げたという。男は、この母親の義理の弟。「看板には24時間診療すると書いてあるのに詐欺だ」と威嚇し、金銭の要求もほのめかしているという。
受け入れを断ったS医院の事情はよくわかるが、診療を断るならもう少し丁寧にする必要がある。対応できなければ、せめて救急情報センターの連絡先を伝えるべきだったろう…そう助言した上で、私のアドバイスは2点。まず当事者ではない第三者とは損害賠償など交渉を一切しないこと。次に当事者である母親に連絡をとり、やむなく断った理由を丁寧に説明して謝罪すること。母親が納得したら義弟を説得するようお願いする。この結果、男の態度は一変してトラブルは回避された。

アドバイザー    尾内 康彦 
大阪府保険医協会事務局次長。業務の間をぬって年間400件以上の医療機関トラブルの相談に乗り、「なにわのトラブルバスター」の異名を持つ。著書に「患者トラブルを解決する「技術」」がある。
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